「草の根サークル型」に向かうシニアの海外旅行
 
  2002年11月号 第5回
村田裕之
シニアは海外旅行市場のけん引役
 

現在50歳以上のシニアは海外旅行市場の
けん引役となっている。
2000年の出国者数を年齢別に見ると、
50歳以上が32.3%を占めている。
また、50歳以上の出国者は前年比で112.6%と増加している。

シニアの海外旅行というと豪華客船による
世界一周旅行がよく取り上げられる。

しかし、この豪華客船旅行は、
一人数百万円と非常に高価であり、
実際に行ける人はごく限られる。

また、高価なためリピーターがいない。

なによりも大きな課題は、長期間の船旅に
慣れていない日本人には
飽きられてしまうことである。

むしろ、シニアの需要が増えているのは「生活体験型の長期滞在」である。
これは、従来の「駆け足型の短期観光」からの変化である。

この傾向を踏まえ、01年の春から大手旅行会社がシニア専用の商品として、
現地生活を体験できるツアーを相次いで発売している。

たとえば、JTB地球倶楽部は、 50歳以上を対象に
最大29日間の 「熟年のための海外生活体験&留学体験」、
日本旅行は 50歳以上を対象に
海外の語学学校での研修とホームステイがセットになったツアー を発売している。

生活体験型の長期滞在に人気が集まるのは、次の三つの理由による。

第一に、子供の独立や退職などライフイベントの区切りを迎え、
時間的余裕が生まれること。
ホームステイや語学留学に参加するのは、男性は「退職を迎える」60歳前後、
女性は「子育てが一段落する」50代前半が多い。

第二に、単なる駆け足型観光では体験できない
異文化生活体験を求める傾向が強くなっていること。
日本では人口の一割が海外旅行を経験するなど、海外旅行が大衆商品化した。
このため、たとえば「ロンドン・パリ・ローマ魅惑の8日間」というような
ドタバタと複数の都市を短期間に駆けめぐるのではなく、
一ヶ所でじっくり生活体験することを望む人が増えている。

第三に、海外移住するには、費用、ビザ取得、言葉の能力面でハードルが高いこと。
また、一年のうち数ヶ月を海外で過ごしたいが、
日本にある自宅を処分してまで移住するほどではないという気持ちも強い。

 

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