消費者が売るコミュニティのしくみ
 
  2005年8月号 第20回
村田裕之

こうした「自己完結型」ともいえる施設群の徹底した充実は、大都市から離れていることが大きな理由だ。アリゾナ州のサンシティもそうだが、アメリカ人は何もなかった更地に新たな町を創り出すのが大得意だ。

だが、いくら充実した施設群があるとはいえ、大都市から離れた田舎の二千戸の住居に入居者を集めるのは並大抵のことではない。通常、こうしたリタイアメント・コミュニティの九割は、入居者の大半が移住前に半径六〇マイル(九六キロメートル)以内に住んでいるからだ。

ところが、ウィローバレーの場合、入居者のうち、ペンシルバニア州からの移住は四割。残りは全米各地から移住している珍しい例。なぜ、こうしたことが可能なのか。

(中略)

日本では、こうした施設の入居者は「お客様」であり、お客様自らが営業活動を手伝うというのがなじみにくく見える。

だが、入居者が増えれば、自分の月間費の控除が受けられ、新たな友人も増えるという「明確なメリット」が認知されれば、日本でも不可能ではないだろう。

ウィローバレーが示しているのは、顧客が商品に惚れ込むことで、顧客が「消費者」から「PR媒体」に役割を変えることだ。ここで大切なのは、「コミュニティの販売促進」ではなく、「自分のコミュニティに誇りを持ち、その仲間を増やす」という文化の醸成である。

(本文より抜粋)

 

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