スターバックスに見る新商品開発の発想
 
  2005年3月号 第15回
村田裕之

今、米国のスターバックスに行くと、「メディア・バー」というキオスクが見られる。日本の店舗ではまだ見られないこのサービスが話題となっている。

このキオスクでは二万曲以上を視聴でき、好みの曲を選んでオリジナルCDを作成することもできる。

ディスクと最初の五曲のセットが六・九九ドルで、六曲目からは1曲九九セントになる。全ての作業が一〇分程度。従来コーヒーを注文した後の手持ち無沙汰な時間が、自分の好きな曲探しの機会になり、店の収入も上がるようになった。

このようなサービスが可能になったのは、スターバックスの創業者ハワード・シュルツ会長が、数年前にカリフォルニア州バークレーにある「ヒア・ミュージック」の店舗を訪れたことがきっかけだ。

メディア・バーは、元はヒア・ミュージックが提供していたもの。すっかり気に入ったシュルツ氏は、五年前に八万ドルでこの会社を買収した。


(中略)

スターバックスのこうした商品開発の軌跡を眺めると、そこには新商品を成功させるための二つの「カギ」に気がつく。

一つは、人がリラックスして創造的に時間を過ごすための空間とは何かをあくまで追求し続けるシュルツ氏の姿勢だ。オルデンバーグの著書は多くの人が読んでいるし、ヒア・ミュージックの店舗にも多くの人が訪れている。だが、こうした徹底した姿勢がない人には、それが自分にとって深い意味のあるものには見えてこない。

もう一つは、常に自社の強みから発想するというスタイルだ。米国のスターバックスには、毎週のべ三五〇〇万人が訪れる。いまやヒア・ミュージックのCDの売上の三分の一以上がスターバックスの顧客である。つまりこの会社は、もはや単なるコーヒーショップ・チェーンではない。デパートやスーパー、ドラッグストアと並ぶ新たな小売チャネルなのだ。

(本文より抜粋)

 

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