国の保険制度に依存する介護事業の行く末
 
  2005年2月号 第14回
村田裕之

二〇〇〇年四月にスタートした日本の介護保険制度は、開始後五年で早くも大幅に見直される。〇五年の通常国会での審議を経て、〇六年の四月から新制度がスタートすると予想されている。

なぜ、制度導入後わずか五年で大幅な制度変更が必要なのか。その理由は、制度導入前の政府の予想を大幅に超える介護報酬が支払われ、保険財政が破綻寸前だからだ。

現状の介護保険制度の問題点の一つは、要介護者の健康状態を改善する方向にインセンティブが働かないことである。

この理由は、要介護度が重い程、高い報酬が支払われるためだ。つまり、有料老人ホームなどでは要介護度の重い人を多く集めた方が収入は多くなる。

だから、サービス業者は、要介護度の重い人向けの施設ばかりつくる。すると、まずます介護報酬が増え、介護予算が圧迫されるが、寝たきり老人は一向に減らないという悪循環が生じている。

このような背景から、現在検討中の新たな制度では、現状「要支援」「要介護1、2」と認定される人に対して、従来の「介護給付」ではなく、要介護状態を予防するための筋力トレーニングなどに報酬を払う「予防給付」とする。軽度の要介護者が健康状態を改善するインセンティブを働かせようというものだ。

一方、これで割を食うのが、現状、軽度の要介護者向けに在宅介護を提供している業者である。実際、厚生労働省の素案発表後、ある上場企業の株価が大幅に下がった。介護報酬の仕組みが変わることで、事業収入が大幅に減るとみなされたからだ。さらに、見直し後の介護保険制度は、未だ公式に発表されておらず、業界には先行きの不透明感が蔓延している。

これらが示しているのは、国の保険制度に依存する事業の脆弱さである。この脆弱さから脱却するには、国の保険制度に安易に頼らない事業モデルが不可欠だ。実は、こうした取り組みは、日本以上に保険予算の縮小傾向にある米国で先んじている。

(本文より抜粋)

 

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