デジタル時代の職人とは?
 
  2004年4月号 第4回
村田裕之

サンフランシスコの北にある「ハイテク・コネクト」というエージェント会社が注目を浴びている。

同社のシーゲル社長は、女性起業家としても著名で、フォーブス、ニューズ・ウイークなどのビジネス誌にもよく登場する。

この会社が顧客に受けている理由の第一は、ハイテク産業に詳しい広告・PR専門家ばかりを束ねていること。

一般に広告分野には、ハイテク業界の用語や概念を深く理解する人が少ない。依頼先のオラクル、ノベルなど、ハイテク業界の大手企業にとって希少価値となっている。

理由の第二は、迅速に適材を紹介してくれること。興味深いのは、二〇〇社を超える企業からの依頼に対し、一五〇〇人以上の登録者から、適任者を選ぶのに、データベースに頼らず、一人の「目利き力」に拠っていることだ。

にもかかわらず、依頼先からのクレームがほとんどない。
ミス・マッチングがほとんどないからだ。
この高度な「アナログ・マッチング」が可能なのは、
目利き役のシーゲル社長が、
登録者に関する「深い背景知識」をもっているからである。

(中略)

近年、小売業などで、マーチャンダイジングを
コンピュータで行う方法も出てきた。

だが、シニア向け商品には、シニアの多様な心理を
全体包括的に熟慮する必要があり、
コンピュータでは不可能な「職人的な智恵」が必要だ。

言い換えれば、この智恵が、ゴールド・バイオリンの強みである。
それは究極、社長のホルキスト氏の「目利き力」に他ならない。

デジタル技術の進展で、大量の情報を高速で処理できるようになった。
だが、人間に関する深い背景知識を直感的に洞察できるのは、
一人の優れた職人的な目利きのプロである。

(本文より抜粋)

 

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